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オフィス ナテュレ代表・藤山健さんインタビュー~後編~

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オフィス ナテュレ代表・藤山健さんのインタビューの模様をお届けします。
後編では、昨年オーストリアで行われたイベント「アイアンシェフオールスターズ」や、藤山さんオススメのお店について伺いました。

※ 本記事にはプロモーションを含む場合があります。

藤山健さんは、1964年生まれ。愛媛県松山市出身。大阪芸術大学へ進学し、卒業後は大阪毎日新聞に入社。
1990年にはオーストラリア シドニーへ渡り、フリーのカメラマンとして活動。
帰国後開業したオーガニックカフェ「ナテュレ」と「ブルーマーブル」は松山市で一世を風靡した。
現在は、「オフィス ナテュレ」の代表/プロジェティスタとして愛媛の魅力を世界へ広めるため活動している。

コーヒーを美味しく淹れるには?

――最近は家庭でコーヒーを淹れる人も増えていますよね。ハンドドリップでコーヒーを美味しく淹れるコツがあれば教えて頂けますか?
コーヒーもお料理と同じようなものですから難しく考えなくていいんです。

まず大事なのが道具。料理をするときに、まな板と包丁は絶対に使いますよね。
それと同じで、コーヒーを淹れるときには、ブラインダーとペーパーフィルターは絶対必要なんですよ。
「そういう道具なしに美味しく淹れるにはどうしたらいいの?」とよく聞かれますが、それは無理なんです。

ハンドドリップでコーヒーを淹れるにしても、ドリッパーには種類があります。
メリタ・カリタ・ハリオ・コーノという4種類があって、それぞれ淹れ方、あるいは出し方に違いがあるんですよ。
それぞれの特性が違うので、それをまず学ぶことが重要ですね。

それと、豆の鮮度も大事です。鮮度というのは「焙煎してからどれぐらい日にちが経っているか」ということ。
真空パックにしたからといって、1年前に焙煎したものというのはダメなんです。だから、いつ焙煎した豆なのかというのは知っておく必要はありますね。
地域にあるお店で焙煎している豆を選んだ方が新鮮な豆が手に入りますよ。

そのあたりを知っておくのが大事かな。
おいしいコーヒーを入れるのに知っておかなければならないことは幾つかありますが、学ぶのは1回でいいんです。
例えばお料理もお母さんやおばあちゃんに教えてもらったらずっと覚えているでしょ。
コーヒーの淹れ方を教えてもらえる教室に一回行ってみる。コーヒーだってそれでいいんですよ。

豆にもいろいろ種類があって、どれが一番美味しいとは言いきれません。
僕がコーヒーについて人に教えるときによく言っているんですが、例えば「美味しくない」と思った豆があったとして、その豆が美味しくないんじゃないんです。
その人に合わなかっただけなんですよ。

その日のランチを選ぶように、コーヒーの種類も知れば知るほど好みや体調、その日の気分にあわせて選ぶことができます。
でもみんな一概に「コーヒー」は一つだって決めつけてしまうんですよ。

「藤山さんが一番好きなコーヒーは何ですか?」とよく聞かれますが、この質問をされるといつも困ってしまいます。
例えば「一番好きな映画は何ですか?」と聞かれると困ってしまうでしょ。「心に残った」とか「感動した」とかなら答えられるんですけど。

それと同じでコーヒーも一つ一つ違いがあるものですからね。同じようには比べられないんですよ。

「アイアンシェフオールスターズinシドニー・オペラハウス」について

――2017年にシドニーで開催されたイベント「アイアンシェフオールスターズinシドニー・オペラハウス」に参加されたと伺いました。どのようなイベントだったか教えて頂けますか?
事の発端は、プロモーターをやっているメルボルン在住の日本人男性からの誘いでした。
2、3年前に「オペラハウスでイベントをやるんだけど、そこでコーヒーを提供してくれないか」と頼まれたんです。

でも、僕は正直現実的に考えられませんでした。
カンタス航空とかキリンビールとかとにかく錚々たるスポンサーで、1993~1999年に放送されていたバラエティ番組「料理の鉄人」の出演者が来るとか、会場はオペラハウスをおさえたとか。
あまりにも規模の大きいイベントなので「ありえないな」と思ったんです。
オペラハウスなんで、予約しただけで1000万円は掛かるからね。

もちろん、彼は私の友達ですから「いいよ」とは返事をしたんですが、100%のうち10%ぐらいしか信じていなかったんですよ。
それで、1年目に松山で再開したときにも同じことを言われたので20%ぐらいになって。
で、イベントの2、3カ月前にカンタス航空から航空券が届いたんです。その時にようやく「ほんとじゃ!」と思ったんですよね。
それから、有名なガラスメーカーの「ハリオグラス」さんや、オーストラリアのコーヒーメーカーさんにコーヒーを淹れるための器具などを提供してもらいました。

そして、イベント当日オペラハウスに向かいました。
オペラハウスは世界遺産ですから、搬出搬入がものすごく厳しいんです。警備も厳戒態勢で、映画でしか見ないような光景でした。
ウェブでセキュリティテストを受けるんですよ。もちろん英語で。
本人だけが合格してIDを発行してもらえるんですよ。そういうものを見て、海外はなんて凄いんだと思いましたね。

会場に入って僕はコーヒーを提供しました。
オープン当初は僕をはじめ、他のコーヒーブースもあって、日本の各都道府県のブースや、日本酒や和菓子のブースが出ていたんですよ。
本当に錚々たるメンバーでした。

夜は、道場六三郎さんや陳建一さん坂井宏行さんといった「料理の鉄人」出演者が料理を作るディナーショーも行われました。
料金は一人5万円~10万円ぐらいでしたね。
ディナーショーではオークションも行われて、その方たちがサインをしたエプロンが競売にかけられるんですよ。
50万や100万といった額で売れていました。

なぜ今オーストリアで「料理の鉄人」のイベントが行われたのかというと、向こうでは再放送をやっているんですよ。
日本でもそうですが、オーストラリアでも彼らは大スターなんです。

それと、今オーストリアでは「日本食・日本酒ブーム」が起こっていて、新たに日本の食文化見直されているんです。
日本の都道府県が、その市場へ向けて各県の物産をアピールするということもこのイベントの目的でした。

――「料理の鉄人」出演者の方との交流もありましたか?

そうですね。一緒に写真を撮影して貰ったり、坂井宏行さんに僕が淹れたカプチーノを飲んでもらったりしました
このイベントのドキュメンタリーはBSでも放送されて、YouTubeでもその様子を見ることができます。

――イベントに参加された目的はどういうものだったのでしょうか。

なぜ僕がこのイベントに呼ばれたのかというと、オーストラリアに日本のコーヒー文化を伝えるためです。

コーヒーの淹れ方の一つとして「ドリップ」というものがありますが、それはスタイルも使う器具もメイドインジャパン。「日本が生んだコーヒー文化」なんですよ。
そして、コーヒーの器具やグラスは「ハリオグラス」という日本のブランドが世界で使われているものの約8割を占めているんですね。
日本人は意外とこれを知りませんが、海外の方は尚更知らないんですよ。

僕は、1990年に「ペーパードリップ」をやっていたんです。当時は「これはコーヒーか?」なんて馬鹿にされていました。
でも、今はカリフォルニア発のサードウェーブコーヒー「ブルーボトルコーヒー」がペーパードリップをやっているんですよ。
そのきっかけをつくったのは、日本のサイフォンやペーパーフィルターや水出しコーヒーなんです。でもそれを知っている人は少ないんですね。

これだけグローバルとかインターナショナルと言われている割には日本と海外では温度差があるんです。
そういう意味も込めてオーストラリアに日本の文化を伝えるため、イベントに参加しました。

一つのことを続けていれば、チャンスは訪れる

――愛媛や海外で多岐にわたる活躍をされている藤山さんですが、多くの方と出会われると思います。その中で印象的な出会いはありますか?

印象的な出会いというよりも、いろいろな国の方と交流できていることが良かったなと思いますね。
ご飯を食べに行ったり一緒に出かけたり、そういう何気ないことですけどすごく刺激になるんです。

自分だけじゃなくて僕の家族にもそういう機会があるんですよね。
あまりないことでしょう。普通の日本人と結婚してこんな風に外国の方と交流があるというのは。
そういう輪が自分だけでなくて、自分の周囲にも広がっていくのがいいことだなと思いますよね。

それとやっぱり「アイアンシェフオールスターズ」のイベントで、「料理の鉄人」の出演者の方とお仕事ができたことは印象的でしたね。
普通はあり得ないことですから。松山に住んでいて、そういうお声が掛かるということはなかなか無いですからね。

でも自分がそれを望んでいたわけではなく、ただ一つのことを真面目に続けてきただけなんです。
続けていると、出会いのチャンスはいずれ訪れるんだなと、この歳になって感じましたね。

藤山さんオススメのお店とは?

――愛媛県内でオススメのカフェやパン屋さんがあれば教えてください。

カフェなら、大街道2丁目にある「カフェB・C (ビーシー)」さん。老舗のですからね。

それと柳井町商店街の中にある「rodan-caffé(ロダンカフェ)」さんですね。
僕のコーヒー仲間がやっています。昔はいろいろなイベントにも出店していて、イベントでコーヒーを出すお店としてはさきがけ的な存在です。
ネルドリップ一本に絞ってやっている職人さんですよ。

あとは、「凸凹舎(でこぼこしゃ)」ですね。「ブルーマーブル」の元従業員がやっているお店です。

パン屋さんなら俺のフレンチと同じ建物にある「PELTA L’ECRIN(ペルタ・レクラン)」。

それと、米粉パンであれば宇和島市の「BOULANGERIE RIZ(ブランジュリー リズ)」さん。
お米も地元三間町の三間米を使っています。すごく信念のある方がやっていらっしゃるんですよ。

新居浜市大島にある「ジャック の パン屋」さんもいいですよ。
西洋のパンと日本のパンは違うんです。ジャックさんのようなパンが本来のパンだと思いますね。

ケーキ屋さんは、松山市束本にある「あん庵」さんがオススメです。
僕の一つ上の先輩、もともと和菓子職人さんだった方がやっています。

僕が本当に読者の方にすすめたいのは、流行りとかインスタ映えするお店ではなくて、古くから続くお店なんですよ。
そこを支えないと、お店が無くなってしまう。お店が無くなるということはどういうことかというと地域のコミュニティが無くなるということなんですね。
若者向けのお店というのは今の若い方の方が詳しいですから、そういう古くからあるお店の歴史、バックグラウンドを広めていったほうがいいなと僕は思います。

今後の展望

――今後の展望を聞かせてください。

「愛媛を世界に発信する」というのは既に進めています。
今は日本国内でも「愛媛ってどこにあるの?」と言われてしまうことがありますが、そう言われないように愛媛を広めていきたいなと。

そのためには、愛媛より先に四国を発信しないといけないと思うんですよ。
四国をまず認識してもらって、四国の中にある愛媛として知ってもらう。

世界と愛媛を結ぶ、というと大袈裟かもしれませんけど、愛媛に来た人が「愛媛はいいところだったね」といってくれるようになれば嬉しいですね。

それが自分のビジネスやライフスタイルにつながっていけば本望です。

残りの人生あと30年か40年ですけど、それぐらいかけてやっと一つのことができるぐらいですよ。
たった30年や40年では3つも4つも成し遂げることはできませんから。

誰もが驚く!? 藤山さん流「時間術」

――「いろんなところで藤山さんを見かけるけど、どういう風に時間をつくっているんだろう」という疑問をいろんな方から聞くんですよ。

なるほど。そういわれると不思議かもしれませんね。

――そこで、今回は24時間グラフを用意しました。藤山さんの1日のスケジュールをこちらに書き込んで頂けますでしょうか。

いいですよ! 書きましょう。



藤山さんに書いて頂いたスケジュールがこちらです。

寝る時間は決まっているんですよ。
自宅兼事務所になっているので起きてすぐに仕事しようと思えばできるんですよね。
土日でも仕事をします。でも飲食店をやっていたので、それは自分も家族も苦にならないんです。

それと、この矢印で表しているのが仕事も遊びも集約している時間です。このなかで予定を動かすようにしています。

例えば、海外にいっている友達が久々に日本に帰ってくるというようなときは、会いに行かないと次いつ会えるか分らないでしょ。
そういう時は、先に仕事や遊びの予定が入っていたとしても予定をなんとかずらして会いに行くんです。
そういう、融通をきかせられるような「魔の時間」をつくっているんです。皆さんが不思議がるのはそういうところだと思いますね。

最近は、必ず子どもと遊ぶ時間をつくっています。
それとYouTubeやFacebookを見まくって情報収集をする時間をつくったり。



藤山さんのスケジュール帳を見せて頂くと、予定がぎっしりと書き込まれていました!

用事で外にでることがあれば出先でも常に情報収集をしています。
そこで得たネタが次のところで役立ちそうであれば出したりして、そうするとまた次の仕事に繋がったりするんですよね。
刑事ドラマにでてくる情報屋さんのようなことですよね。

こんな風に時間に関しては臨機応変対応できるようにしています。だからサラリーマンには向かないかもしれません(笑)

まとめ

オススメのお店や、藤山さんのようにアクティブに行動するための時間術など、他では聞けないお話を沢山伺うことができました。

藤山さんは愛媛のイベントでコーヒーを提供されていることも。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。

藤山健……オフィス ナテュレ代表/プロジェティスタ。愛媛県にカフェが無い時代から地域密着型カフェ「ナテュレ」、「ブルーマーブル」を展開した愛媛の「食」の先駆者。
SCAAアメリカスペシャリティコーヒー協会カッピングジャッジ(コーヒー鑑定)や農林水産省6次産業プランナーとして活躍、松山市の調理製菓専門学校では講師も務めている。
現在では、人と人、地域と地域を繋ぎ、食だけに留まらない愛媛の魅力を世界中に発信している。
オフィス ナテュレ-Facebook: https://goo.gl/yBY9G7

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この記事を書いた人: DO?GO!愛媛編集部
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