アラスカの自然を追い続ける愛媛出身のカメラマン・松本紀生さんへのインタビューの模様をお届けします。 後編では、オーロラに関する疑問や、松本さんの出身地でもある「愛媛県」について伺いました。
※ 本記事にはプロモーションを含む場合があります。
【インタビュー前編はこちら!】
「本当のオーロラ」だけを伝える松本さんの写真
――一般的な写真で見られるオーロラは青色や緑色をしていますが、実際に肉眼ではどう見えるのですか?
実際に緑色や青色にみえることもありますよ。特に緑色は多いですね。
でも、カメラの種類によっては、色がよりキツく写ってしまうんです。多分、カメラのセンサーの方が、人間の目より性能がいいからだと思うんですよね。
だから、カメラの特性で色が変わってしまわないように最初にカメラの設定を調整して、できるだけ撮ったものと見たものが同じようになるように撮っていますね。
――ということは、松本さんが追い求めている”赤いオーロラ”も肉眼では赤くなくても、カメラでは赤く映ってしまうこともあるんでしょうか。
そうですね。やっぱりカメラの性能によって赤色に撮れてしまうこともたまにあります。
それとはまた別に、ほんとに肉眼で見ても真っ赤なオーロラがそのまま撮れることもあって、僕はそれを狙っているんです。
でもそれは、かなりで稀で僕も2回くらいしか見たことがありません。
重要なのは「被写体」や写真そのものにかける情熱
生き生きとした動物たちや、神秘的なオーロラ、アラスカの生き生きとした大自然を切り取る松本さんだが、驚くことに、写真に関してはすべて独学だという。
――現代では「インスタ映え」といった言葉があるように、一般の方でも写真を撮る機会が増えていると思います。
松本さんが思う、カメラにまったく詳しくない人でも、うまく写真を撮ることができる”コツ”のようなものがあれば教えてください。
数打ちゃぁ当たるってことでしょうか。
でもねぇ、「うまく撮る」というのが何を指すのかにもよると思います。
写真を撮る人が、その被写体が好きで、写真撮るのが好きで撮っていたらそれでいいんじゃないかと僕は思うんです。
それでも、もっとうまく撮りたいっていう人がいたら、”コツ”なんかなくてもいいんです。
そういう人ってきっと撮り続けると思うので、いつかうまくなります。だんだん上達すると思いますよ。
――カメラの性能は年々上がっていっていますよね。
そういったカメラの進化や松本さんご自身のテクニックが向上によって今までは撮れなかったものが撮れるようになったと感じることはありますか?
カメラのおかげでオーロラが、より本物にリアルに近くなったっていうのはありますね。
カメラの感度を大分上げられるようになって、オーロラ撮る時にシャッターをあけておく露出の時間がものすごく短くて済むようになったんです。
今までだったら20秒とか30秒ずーっとシャッターあけてたんですね。
そうすると、20秒30秒の間オーロラずっと動いているので、だいぶぼやけて写ってしまうんです。
今は短い時だったら2、3秒で写ってしまうので、オーロラが動いている時間が少ないじゃないですか。なのでオーロラがより本物に近く撮れるようになっていますね。
僕、しばらくずっとマニュアルフォーカスのカメラを使っていたんですね、オートフォーカスではなくて。
なので、動物が速く動いている時なんかはマニュアルじゃピントが合わせられなくて、ぼけた写真をいっぱい撮ってたんです。
でも、今はカメラの性能がすごくいいので、クジラがパッと飛んだ瞬間にそのシャッターチャンスを逃さず撮ることもバンバン出来るようになってますね。
特に動物が相手だと、ほんとにもう一瞬の勝負なので。
――写真家として活動を始められた頃と今とを比べて被写体は変わってきていますか?
被写体は増えてますね。
アラスカは広いので移動がとにかく大変なんですよ。
僕はスポンサーもなく自分でお金を貯めてアラスカでの費用を賄っているので、お金があんまりないとその広いアラスカを移動するのすら難しいんです。
でも今は、なんとか色んなところに行けるようになったので、アラスカ中を移動して、今まで撮れなかった被写体を撮ることができるようになっています。
いちばん心が安らぐ場所、「愛媛」
――海外に滞在している期間が長い松本さんだからこそ気づいた愛媛の魅力を教えてください。
やっぱりね、生まれ育ったところなのでホッとしますね。
これは理屈ではなく愛媛県は一番自分が安らげる場所なんです。
写真家の人ってやっぱり東京に行ったりすることが多いんですね。仕事にありつくのが一番手っ取り早いと思うので。
でも、そんなことよりも地元で心安らぐ時間を持つことを大事にしたいんですよ。
心が健康でないとアラスカに行って綺麗な景色を見ても心から「綺麗だな」と思ってシャッターをきれませんから。
そういう時間を持てる場所ですね、ふるさと愛媛は。
――愛媛県を日本、世界に向けて発信していくためには、どのような点をアピールしていけばいいと思いますか?
なんだろ……なんですかね(笑)
いや、これね、アピールしたいような、したくないような。なんとも言えない気持ちですよね。
例えば、自分が通い詰めている隠れ家的なお店って、あんまり人には教えたくないじゃないですか。自分だけのとっておきの秘密にしておきたい。そんな感じなのかな
でもね、気候もいいし、災害も少ないし、食べ物も美味しいし、温泉もたくさんあるし、ほんとにのんびりしたい方には最適の場所だと思います。
―日本では撮影はされないということなんですけど、もしも愛媛県で松本さんが撮影をされるのであればどんな風景を選びますか?
考えたことないな……。
ありきたりですけどね、愛媛県は空が広くていいなと思うんですよ。高層ビルがそんなにないから、空が広い。
当たり前の様に感じるんですけど大都市に行くと、結構ビルが多いから空が見えなくて圧迫感があるんですよ。
「空が見えないってどういうことだ」って思うんですけど。
アラスカなんかは遮るものがないので、空も全部見えます。だから空が広いってだけで素敵なことだと僕は思いますね。
―愛媛に帰って来たときにかならず行くお店はありますか?
そうですね。僕の奥さんはハンバーグが好きなので、愛媛に帰ったときには松山市砥部町の「ボーノ」っていうお店のハンバーグをよく食べに行きます。
あとは、東温市にある「COSO」という喫茶店にもよく行きますね。
ここのカレーがめちゃくちゃ美味いんですよ。たぶん果物のペーストが入っているのかな。
辛すぎなくて、美味しいんです。
それと、お好み焼きは「もみじゅう」っていうお店がおすすめです。
世界一美味しいお好み焼きが食べられますよ。
―松本さんの今後の展望を聞かせてください。
アラスカをとことん撮り続けたいんです。
ずっと撮ってきていますけど、それでもアラスカの大地は広いですから、魅力的な被写体がいっぱいあって、まだまだ撮れてないものばっかりなんですね。
ですからもっともっとアラスカを撮りたいです。
まとめ
なんと、松本さんにサインをいただくことができました!
お子さんに喜んでもらえるようにクジラのイラストを添えているんだそう。
松本さんの優しい人柄が分かります。
こちらのサイン色紙を抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は下記のフォームよりご応募ください。
※当選者の発表は色紙の発送をもって代えさせていただきます。
※応募締め切り:2018年4月19日
サイン色紙プレゼントの募集は締め切らせていただきました。
たくさんのご応募ありがとうございました!
松本さんの写真集「DEEP ALASKA(ディープアラスカ)」は現在発売中です。
23年間松本さんが撮影し続けてきたアラスカの自然風景やオーロラの写真が収録されています。プレゼントにもオススメです。
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松本紀生 (まつもとのりお)
1972年愛媛県松山市生まれ。
立命館大学在学中に写真家の故 星野道夫氏の影響を受け、同校を中退。
アラスカ大学へ編入し、独学でキャンプ術や撮影技術を学ぶ。
現在も愛媛県で暮らしながら、1年のうち半年はアラスカに滞在し、アラスカの大自然を写真におさめている。ホームページ:http://www.matsumotonorio.com/index.html
2冊目となる写真集「DEEP ALASKA(ディープアラスカ)」が発売中。
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